春そのもの

山頂に積もった雪を眺めるように

電気ストーブの上に積もったホコリを眺める
僕は冬を越して春へ来た
扉はなかった
弾丸のように僕はここへきた
体を確認したところ
怪我はない
出発当初から僕は過去を振り返らないと
決めていたから
山頂の雪が溶けるのはまだ先だろう
あなたは

あなたが好きな人たちだけを
次の季節へ連れて行こうとする
あなたは春そのものだ