ロボット教室

近所を歩いていると様々な教室を見かける。

ピアノ教室、ギター教室、パソコン教室、そろばん教室、とか。

今日はこんな教室を見つけた。

 

「ロボット教室」

 

何の説明もなくこの看板だけが悠然と待ち構えている。

この教室は一体何をするんだろう。

自分が知らないだけで一般的に知られている教室なんだろうか。

一時間ほど、このロボット教室について考えるハメになった。

 

部品を組み立てて、一からロボットを作るんだろうか。

ロボットについて学んで、AI技術を身につけるのだろうか。

 

いや、人間が主役とは限らない。

ロボットが通う教室なんだ、きっと。

ロボットが人間の知識・技術を一から学び、

人間社会に出るためのその訓練をするんだろう。

 

「想像すればするほど遭難した気分に」

 

あまりに気になりロボット教室に一歩近付く。

何も見えないし何の音もしない。

この沈黙の中で何が行われてるんだろう。

 

これはおとりかもしれない。

僕のような人間がひょっこり現れるのを待って

教室を覗き込んだ瞬間、僕は捕らえられて

台の上に寝かされ記憶を失くされ

過去に自分が人間だったことを忘れた、

そんなロボットにされてしまうのだろう。

 

ここまで考えて飽きたのでそこを立ち去った。

帰り道、ふと入ったコンビニで

「ばかやろう、お前は指示をもらわないと動けないのか

まるでロボットみたいなやつだな」と

アルバイトが叱られていた。

 

僕は

「すぐそこにロボット教室がありますよ」

言いかけたけどやめた。